エイズとHIVの違い、エイズの治療

エイズとHIVを同一視している人も多くいますが、正確には違います。
HIVとはウイルスの名称であり、その保有状態のことを指します。
HIVウイルスはヒトの免疫システムである白血球に感染します。
白血球の一種であるCD4リンパ球がHIVによって破壊されると、その影響で免疫が大きく下がってしまいます。
その結果、病気になりやすくなるだけでなく、通常では感染することがないような細菌やウイルスにも感染するようになります。
これを日和見症と言い、この状態になるとエイズ発症と判断されるのです。

HIVに感染しただけではすぐに死に至ることはありません。
そればかりか何年も気づかずに平常通り生活を続けている人もたくさんいます。
しかし徐々に免疫力が下がっていき、体力が落ちたり体重が減少するようになります。
また、感染直後にはインフルエンザのような高熱を出したり、リンパ節が腫れる人もいますが、中には全く症状が出ない人もいます。
日和見症になり、初めてHIVに感染することを知る例も少なくありません。

HIVウイルスの感染経路は、主に性的接触や血液感染、母子感染で、大部分が性的接触によるものです。
ウイルスが含まれている体液が粘膜や傷口に増えることで感染する可能性がありますが、HIVウイルス自体は非常に感染力が弱いため、体液が触れたからと言って必ず感染するものではありません。
唾液や涙のようにウイルスの存在しない体液もあり、しっかりと知識を身に付けていれば、日常生活を共にしていても感染することはないでしょう。

エイズにならないためには、HIVに感染しているかどうかを定期的に検査し、早期に対策を取っていくことが重要です。
早期治療を開始することができれば寿命を全うすることも難しくないのです。
そういう意味ではHIVは慢性疾患のようなものであると表現する人もいます。
母体が感染していたとしても、健康な子供を産むこともできるのです。
エイズに対する間違った知識は偏見を生むので、正しい理解を深めていくことが現代社会の課題でもあります。

完治はできないが、治療でウイルスの増殖を抑える

HIVの恐ろしい点は症状がほとんど現れない点です。
感染中に病気になっても免疫力が高いうちはすぐに治ります。
しかし少しずつ確実に免疫力は低下していき、その間に関係を持った相手にも移してしまう危険があります。
エイズが発症したとしても治療を開始すれば免疫力を取り戻すことは可能です。
免疫力の検査では血液中のCD4リンパ球の数を計測しますが、CD4の数が200を下回ると日和見症にかかるリスクが高まります。
200を上回っていても感染することはありますので、早期発見、早期治療が予後に大きな影響を与えるのです。

また、ウイルスも変化をすることがあります。
治療薬にもいくつか種類があり、組み合わせて服薬をしていきますが、しっかりと服薬を続けていかないとウイルスが薬に対して耐性を持ってしまい、治療が困難になってしまうこともあります。
症状がないからと安心せず、HIVにかかったら一生服薬をしていかなくてはなりません。
服薬をして治療をしていれば発症を抑えるだけでなく、パートナーに移してしまうリスクも抑えることができます。
服薬は1日1回決められた時間に行うものが主流です。
服薬する時間帯は医師と相談して決定することができますので、自分の生活リズムを維持したまま治療をしていくことができます。

治療薬の開発は現在も発展途上ですが、将来的には完治させることができる方法が見つかる可能性もあります。
海外ではHIVを完全に克服した例もあるのです。
ウイルスを貰わないように避妊具をつけることや知識を身に付けること、不安なことがあったら早めに検査をすることも大切ですが、もし感染してしまったとしても悲観せず、前向きに対策をしていかなくてはなりません。

日本においてはHIVに感染すると障がい者手帳を申請することができます。
治療には多額の費用がかかり、それが一生涯続くわけですから、こうした制度を知っておくことも治療を成功させるために必要なことです。